汝、星を盗むなかれ(第十一回)作・風間銀灰

そんな訳で、私と学長、警備員の人たち、そして鳴戸と大海原と楠が、大講堂の捜索をすることとなった。 「お星さま探せばいいんですね~♪」 楠の、ロマンチックですぅ、という言葉を無視して、調べに入った。まず台座周辺を探したが、やはりある様子はなかった。そこで、手分けして構内の座席の下・机の中を、重点的に調べることにした。 大がかりな清掃が入るのは週に二回で、星がなくなってからまだ業者…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十二回)作・風間銀灰

しかし、目当ての物はなかなか見つからなかった。出てくるのは、紙ゴミ、ペットボトル、忘れ物らしいボールペン、す○きよ君ストラップなど、微妙なものばかりだった。学生のモラルの低さが嘆かわしい。忘れ物はともかく、ゴミはゴミ箱に捨てるべきだろう。 皆が疲れてきて、諦めムードと、そして私への無言の抗議の空気がひしひしと迫ってきた中で、楠だけは相変わらず元気だった。 そして、しばらくして、彼…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十三回)作・風間銀灰

「やったっスね!」 「よかったよかったっ」 学長はとても喜んでいたが、ふとまた顔を曇らせて呟いた。 「だが、犯人はいったい誰なんだ?しかもどうやって?まだその説明がついていない」 「例の留学生が犯人でないとすると、あと考えられる可能性は少ない」私はそう答えた。 「え?わかっているのか?それなら…」 そのとき、鳴戸と大海原が口をはさんだ。 「わっ、ちょっと待っててほしいっ…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十四回)作・風間銀灰

 「それより、災害救助用などのロボットを改造して、木を登らせたというのはどうスか?」 「それじゃ大海原クンの意見と変わらないですぅ」 「じゃ楠さんは、別の考えあるんスか?」 「ないですぅ」  ここで鳴戸と大海原は、漫画のようにズッコケた。 「じゃ、じゃあやはり真打ちの、センセの意見をお伺いするッス…」 私は咳払いをして、始めた。 「このような場合、最も単純なことが回答の場合が多…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十五回)作・風間銀灰

「そんな者がいるのか?だいいち、設置当日は、出入りの際に設置する業者だって簡単な身体検査を受けたのだぞ」 学長が呟いた。だが私にとっては、それで余計に何もかもつじつまが合う。 「だから講堂内に隠していかねばならなかったのだ」 「だが、星をてっぺんに付けたのは、持ち主自身だ。その前にすり替えることは不可能だ」 「その後なら可能だ」 「どうしてだ?無理だ、星を付けるのが最後の作業だ…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十六回)作・風間銀灰

学長はしばし呆然としていた。そしてようやく口がきけるようになると、嬉しそうに言った。 「ありがとう、親友。やはり私が見込んだ男だけのことはある」 全く調子のいい奴だ。おそらく理事長の娘もこの手でおとしたのだろう。 「では警察に、設置業者を調べてもらうよう言えば、その中に犯人がいるという訳だな」 ではさっそく警察に連絡を、と行こうとする彼に、鳴戸がストップをかけた。 「ね、学…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十七回)作・風間銀灰

考え込んだ学長の出した結論は、なんとゴーサインだった。そういえば、昔から無謀な賭け方をする男だった。しかも、その賭に必ず勝つのだ。 ただし、彼は条件を付けた。警察には話して、私服警官に張り込んでもらう。学生たちを危険から守る義務が学長にはある。万が一逆上した犯人が、暴れ出さないとも限らない。 「でもぉ」ここで楠が口をはさんだ。「紙のお星さま落ちちゃったんですから、犯人がここに来たら、犯行発覚…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十八回)作・風間銀灰

明日の授業は、「環境問題を考える」というテーマの授業にし、それにかこつけて照明を落として、ツリーのてっぺんを見えにくくするというのが学長の提案だった。 無論うまく行くかはいちかばちかだったが、他に名案もないのでその方法で行くこととなった。 内密に警察が呼ばれて、証拠品として、紙の星と金の星を持っていった。件の留学生には、星が無事発見されたこと、犯人も絞り込めたことが伝えられた。 さあ私にで…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第十九回)作・風間銀灰

こうして、私も学長の授業に協力するという形で、参加することになった。ボーナスが増えれば、妻へのクリスマスプレゼントもグレードアップできるというものだ。 例の机には、適当に重い金属を詰めたコンビニ袋が、元のように貼り付けられた。そして、その席をさりげなく空け、周囲に私服警官が学生風の服装をして座った。鳴戸たちも、よせばいいのに近くに座ることに決めていた。 そして、出入口には教官と警備員をそれぞ…

続きを読む

汝、星を盗むなかれ(第二十回)作・風間銀灰

その席に座った者は、事情を知らない学生かもしれない。だが、私の経験では、空席がたくさんある場合、学生は比較的人口密度の少ないところを選んで座る。なのにわざわざ、私服警官やら、鳴戸たちやらでやや密度が高いところに座ったということは…。 「来たぞ」 私は囁いた。学長はうなずき、そして講義を始めた。 「さて諸君。今日何故照明を落としたのか、不思議に思う人もいるでしょう。本日私は、今の世の中、特に…

続きを読む