七不思議を消去せよ(第一回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

やわらかな日差しが窓辺に漂っていた。高く澄んだ青空には、赤トンボが飛んでいる。とても気持ちのよい日だ。…授業さえなければ。 授業を嫌がるのは、なにも学生ばかりの特権ではない。教える側にとっても苦痛な時もあるのだ。つまり、私は教える側、この大学の助教授で、毎回授業で失笑されているのだ。 ご存知でない方のために説明しておくと、私は英米文学を(一応)専門にしている名ばかりの助教授である…

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七不思議を消去せよ(第二回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

私は驚いた。この男、鳴戸は、もう五分もしないうちに始まる授業を受講している学生だ。何故今わざわざここ研究室へ来る必要があるのか。迎えに来てくれたつもりかもしれないが、こんなむさ苦しい電気街の似合う男の出迎えなどいらない。 「いったい何の用だ。どうせ間もなく教室で会えるだろう。」 「いえ、今日授業でやってほしいテーマがあって、お願いに来たんスよ。…どうせ今日の先生のテーマ、やっつけでしょ?…

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七不思議を消去せよ(第三回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

「…いやあ、実は、昨日オカルト研究会の斉藤と議論になっちゃったんスよ。怪奇現象に説明がつく、つかないで。…で、斉藤の奴、とりあえずうちの学校の七不思議を、論理的かつ科学的に説明してみろって言いまして。理工学部の自分としては、オカルトなんかに負けたくないんスよ。」 「それが私のクラシックミステリ史の授業とどう関係するんだ?」 「だから、次の時間の授業、うちの学校の七不思議をミステリ史のみん…

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七不思議を消去せよ(第四回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

クラシックミステリ史の授業は、私がやっつけられるのが面白いせいか、かなりの学生が受講している。今日も大教室はほどほどに埋まっていた。 鳴戸は大人数にも全く臆することなくホワイトボードの側に立ち、説明している。 「…と、いうわけで、七不思議の“真相”をみなさんでぜひ推理してほしいっス。センセもよろしく~。」 居眠りでもしていようかと思ったが、アテがはずれた。 「ではでは、知らな…

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七不思議を消去せよ(第五回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

この学校の七不思議は、噂でちらりと聞いたことはあるが、全部聞くのは初めてだった。本当に七つ分話があるとは知らなかった。 「其の一は、ご存知相当古い建物で有名な科学棟で、研究で居残りしていたある学生が、夜中に廊下を歩き回る人体模型の標本を目撃したというものであります。見て、それからどーしたという話がないとこがいかにも怪談チックっスね。…ご意見ないスか。」 すると、鳴戸といつもつるんでい…

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七不思議を消去せよ(第六回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

この大海原の意見に、「なーんだ」とか、「そーいやヘンなの作ってんの見たことある」とかいう声が相次ぎ、こうして其の一は“プラ模研の仕業”で落ち着いた。 「では其の二に移るっス。音楽室のベートーベンの肖像の目が動くのを、何人もの学生が見たという、全国でよく聞く事例っスね。」 気のせいだろうとかぱっとしない意見が出た中、英文科の女子学生田沢が手を挙げた。 「目が動くのを目撃された時間…

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七不思議を消去せよ(第七回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

 皆が田沢の意見に納得したので、其の三に移ることになった。 「えー、図書室分室の怪というのは、試験勉強で一人図書室分室に残っていた学生が、誰もいないはずの書架の裏からの物音を何度も聞き、その度に確認しても何もいなかったという、なかなかホラーな現象っスね。」 「典型的なラップ音ですよ。説明つきませんでしょ?」噂のオカルト件の斉藤が、確信顔で言った。 「まあ待つっスよ。ご意見よろしく。」 す…

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七不思議を消去せよ(第八回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

ようするに、乾湿による、木の膨張と収縮が物音の原因だということを楠は言いたいらしかった。だが、本人はむしろ棚がかわいそうだということの方が気になるらしい。 「はいはい。じゃ、其の四に行くっスよ。この水道の怪というのは、体育館の裏口の外にある水道が、何度栓を止めても水が出てるというものです。修理もしてるらしいのですが、いつの間にかまたたれてるそうです。」 すると、史学科の超越(こしごえ)が…

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七不思議を消去せよ(第九回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

そのゆるい空気をどうにかしようとするべく、鳴戸が声を一段と大きくした。 「じゃ、其の五へいくっスよ。大講堂で、学祭の時に著名な先生をお呼びして、その講演を録音した際、後に再生したら、あってはならない声が入っていたという…」 怪談らしくなってきた。全員が固唾をのんで続きを待った。「なんて入ってたんだ?」おそらく全員が、呪いの言葉とか恐ろしいものを連想していたに違いない。 「それが…『…

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七不思議を消去せよ(第十回)今回の原案・kazura、作・風間銀灰

○×先生はとある分野の権威だが、その研究成果よりも、「時々ズレる不自然な黒い頭」で有名なのだった。別の意味で恐ろしいので、とてもここに名前は書けない。 「これ、100%、録音機の側にいたやつの無意識の呟きじゃねーか!」 と、皆でツッこんだところで、次へ移ることになった。万が一本当の霊の声だとしても、あまりにも怖さに欠けるので、さすがの斉藤もこれ以上掘り下げようとしなかった。 「其の…

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