汝、星を盗むなかれ(第十回)作・風間銀灰

イヤな予感がして振り返ると、案の定鳴戸と大海原と、そして楠が立っていた。
鳴戸と大海原は、理工学部のクセに、わざわざ文学部の「クラシックミステリ史」を取っているミステリマニアである。体型は凸凹コンビだが、二人ともたいそう電気街が似合う男だ。
楠は国文科の女子学生で、いわゆる“不思議系少女”である。大概の不思議娘は、不思議系を演じているものだが、この娘の恐ろしいところは、それが天然だということだ。
「大講堂のツリーを見に来たんですけどぉ、警備員さんが入れてくれないんですぅ」
いつもは、私をクラシックミステリ史の授業で散々やっつけているこの連中に会っても、嬉しくも何ともないが、今ばかりは人手が欲しいのでナイスタイミングだった。
「ちょうどいいところに来た。訳は後で話す、とにかく、この大講堂の中で、星を探すのを手伝ってくれっ」
~続く~

この記事へのコメント