汝、星を盗むなかれ(第一回)作・風間銀灰

街はもうさっさとクリスマスムードらしいが、私の研究室ではあまり関係ない。それでも、授業内容はクリスマスが舞台のミステリについて扱うか、と私はあくびをしながら考えた。
もうおなじみの方もいらっしゃると思うが、私は某大学で、英米文学専門の名ばかりの助教授をしている。シャレのつもりで開講した“クラシックミステリ史”の授業でロクな目に合ってない(他の授業でもロクな目には合っていないが)、不幸な中年男である。口の悪い友人たちは、若くて美人の女房をもらった天罰だ、と言っている。そうかもしれない。
さて次回の授業内容は、がちょうが青い宝石を飲み込んだ例の話にするか、ともう一度あくびをしたところへ、ふいに誰かが研究室の扉を開けた。「不在」札を出しておけばよかったと激しく後悔した。

~続く~

この記事へのコメント