田植えのときに人が死ぬ(第五回)

楠は、メイド喫茶でアルバイトをしている。そのせいか、自分のケーキの乗ったトレイも、妙に芝居がかった調子で運んできて…このテーブルに加わった。どうしてこんなのばかり集まってしまうのだ。
話を聞いて、彼女は、おっとり口調で恐ろしいことを言った。
「そういえば、授業で風土記を読んだときに聞いたことありますう。田植えの時期、若い娘が田で死んでしまう、という伝説が多いのは、かつて古代の日本では、田植え前に若い女性がお供えとして、田につき落とされて殺されていたからではないか、って。じゃ、この足跡ももしかしてえ…」
そんな話をしながらにこにこケーキを頬張れる女性の神経こそが、私には最大の謎である。
「そういえば、治水伝説も生け贄の話多いですしい~」
辺りの空気がホラーになってきたところで、
「で、名探偵のご意見は?」
と、突然鳴戸がこちらに話を振ってきた。
~続く~

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