田植えのときに人が死ぬ(第一回)作・風間銀灰

毎度のことだが、今日も授業で学生にこてんぱんにやられた。本日の授業のテーマは、「ドルリー・レーンとエルキュール・ポワロの共通点」だったが、案の定学生の方が圧倒的に詳しかったのだ。
 申し送れたが、私は某大学で名ばかりの助教授をしている中年男性である。英米文学が専門だが、シャレのつもりで"クラシックミステリ史"を開講したのが大失敗だった。それ以来、前述のような学生におちょくられる日々が続き、ただでさえ無い威厳はもうマイナス状態である。
 こうしてこれまたいつものように、学食の隅で「隅の老人」ならぬ「隅のおっさん」状態で牛乳とチーズケーキを食べようとしていたら、イヤな連中がやってきた。理工学部のくせにわざわざミステリ史に来ている鳴戸と大海原、そして英文科の女子学生の田沢。先刻私をこっぴどくやっつけた連中の一部である。
~続く~