絵のない物語 こぐまのマロンくんの冒険続き2 第一話 完

声をきいたマロンくん。
うつぶせのまま、ちょこっとだけ砂で白くなった顔を上げました。
石こさんは、何かを突き出して、マロンくんの方へ向いています。

"危なかったですよ、ほんと。もう少しで僕は死んでしまうところでした!"

石ころさんは突き出た部分からこんなこと話はじめました。
マロンくんは不思議そうにその突き出た部分をみつめています。
"いやーいやー。まだ胸がバクバクしていますよ、ほんと”
石ころさんはマロンくんの不思議そうな顔に目もくれずに、しゃべり続けています。

"これで何回目だったっけな...100回目?ん?いや...200回目.....。"

石ころさんはなんだかもごもごと口ごもりはじめてしまいした。

"あのー。"

マロンくんはようやく何かを聞こう、と思いました。

"あなたは、どこからきたんですか?"

マロンくんの問いかけに石ころさんは、うれしそうに答えました。

"いやー失礼しました。
わたくし、あの森の中にあるぽっかり湖からきました、陸がめのマックスといいます。"

この答えにマロンくんは思わず目を大きくしました。
それもそのはずです。
マロンくんは、

"そうなんだー。僕、てっきり、ごろごろした石なのかと思ったんだ。"

と話したのですから。

"あー。きっとそうだと思っていましたよ。
よく間違えられるんですよねー。この森の皆さんに。わたしの声をきいたとたん、みなさん、わーとか、あーとか大きな声をあげて、驚くんです。わたしのほうが驚きますよ、ほんとうに。"

いつのまにか、石ころさん、いや、陸がめのマックスさんは顔をもっと突き出して、小さな瞳をらんらんに輝かせていました。体の脇からでている、短い手と足をばたつかせながら。

"あのぽっかり湖からきたんだー。僕はまだあそこまでいっていないんだ。"

そのとき、ピンとマロンくんの頭の中でひらめきました。

"そうだ、マックスさん。マックスさんはこれからどこにいくんですか?"

小さな瞳をもっと小さくしたような感じでマックスさんはマロンくんをみっつめました。

"わたくし、恥ずかしながら、道に迷ったのですよ。いったい、ここはどこなんでしょうねぇ。やまびこ山に向かっていたのですが、いつのまにかこんなところにきてしまったのですよ。"

それをきいてマロンくんはにんまりしました。

"マックスさん、僕でよければ、一緒にやまびこ山にいきたいな。ね、どうかなぁ?"

うーん。
というような声が聞こえそうなくらい、マックスさんはそのやさしげな顔に似合わないしわを額によせていました。

"ひとりでいってもまた迷うし。もしかしたら、また踏まれてしまうかもしれないし...。"

”せっかくですから、一緒にいってもらいましょうか!"

やったー!
とマロンくんはマックスさんを両手で乗せながら立ち上がりました。

"さっそくいこう、いこう!!"

"僕がマックスさんをしばらく手のひらにのせておくね。そしたら、あんまり

疲れないでしょう??道はまかせて、マックスさん!僕ここの森なら毎日、いっつもとおっているから。"
顔を真っ白にさせながら、マックスさんを手のひらにのせて、マロンくんはすたすたと歩きはじめました。

"ちょ、ちょっと待ってくださいよ。あなた、あのやまびこ山を知っているのですか?一日じゃ、とてもいけない道ですよ。。。それに...."

マックスさんがいろんなことを話そうとするのですが、マロンくんがリズミカルに歩くので、ゆれてしまいます。

"と、ところで。あなたのお名前は..?"
"あ、ぼくの名前を言い忘れてたや。ぼく、マロン。森のはずれにあるおおくま家族のひとりだよ。パパもママもぼくより大きんだ!”

おおくまですかぁ..。
そんな小さなため息まじりが聞こえそうな、そんな様子のマックスさん。

さぁ。
これが不思議な旅のはじまりです。
こぐまのマロンくんと、陸がめのマックスさん。
ふたりはこれからやまびこ山という、山に向かいます。
どうしてマックスさんはやまびこ山にいくのか。
マロンくんはパパとママになにも言わずに行ってしまっていいのでしょうか。いろいろな疑問が残りますが、続きはのちほどお伝えしましょう。

<第一話 おわり>

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